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赤字物件を売却するタイミング

「毎月、家賃だけではローンの返済が足りない」
「赤字が続いているけれど、今売ると損をしそうで決められない」

ワンルーム投資を続ける中で、こうした悩みを抱えていませんか。

夜勤や忙しい勤務の合間に収支を確認しても、何を基準に判断すればよいか分からないこともあるでしょう。

毎月赤字だからといって、すぐに売却が正解とは限りません。一方で、持ち続ければ必ず状況が良くなるわけでもありません。

売却のタイミングを考えるには、現在の持ち出し、将来の負担、売却後に残るお金を整理することが大切です。

1.赤字の中身と、見直しのタイミングを確認する

まずは年間の持ち出しを把握する

最初に確認したいのは、実際にお金がどれだけ出ていっているかです。

家賃の入金額から、ローン返済や管理費などの支払いを差し引きます。さらに、固定資産税や保険料、修繕費といった毎月発生しない支出も含めて、年間で確認しましょう。

年間の家賃収入 − 年間のローン返済 − 管理費・修繕積立金 − 税金・保険料 − 修繕などの費用

例えば、毎月2万円を補っていれば、年間の持ち出しは24万円です。そこに含まれていない税金や修繕費があれば、実際の負担はさらに増えます。

サブリースの場合は、入居者が支払う家賃ではなく、自分が受け取っている借上げ賃料を使って計算します。

税務上の赤字とは分けて考える

確定申告で計算する所得と、手元のお金の増減は同じではありません。

例えば、減価償却費は、その年に同額のお金が出ていく支出ではありません。一方、ローン返済のうち元本部分は、現金が出ていくものの、そのまま必要経費になるものではありません。

「確定申告で赤字になっている」「税金の還付がある」という情報だけで、投資全体の状態を判断しないことが大切です。

売却の検討を始めたい4つのタイミング

次のような変化は、保有方針を見直すきっかけになります。

  • 生活や貯蓄に影響し始めたとき
    毎月の持ち出しによって、生活費や予備資金が不足し始めた場合です。「夜勤を増やせば補える」と考えるだけでなく、働き方や体調が変わった場合も想定しましょう。

  • 収入や支出の条件が変わったとき
    家賃の減額、空室の長期化、ローン金利や返済額の上昇、管理費・修繕積立金の増額などがあった場合です。一時的な支出か、今後も続く収支の悪化かを分けて確認します。

  • 改善しても収支の見通しが立たないとき
    管理条件や保険内容、賃貸募集の方法などを見直しても、負担が続く場合です。改善に必要な費用と、効果が出るまでの期間も考慮しましょう。

  • 自分のライフプランが変わったとき
    結婚、出産、育児、転職、自宅購入などで、必要な資金や許容できる負担が変わった場合です。

返済に不安がある場合は、延滞する前に借入先へ相談することも大切です。

2.売却後の手残りと税金を確認する

「いくらで売れるか」と同じくらい大切なのが、「売った後にいくら残るか」です。

まずは、次の計算で概算します。

売却代金 − ローン残債 − 売却に伴う費用 − 売却に伴う税金

売却に伴う支払いには、仲介手数料、抵当権抹消に関する費用、契約書の印紙税、金融機関の繰上返済手数料などがあります。必要な項目や金額は、取引方法や借入条件によって異なります。

なお、ここでいう「売却に伴う費用」のすべてが、税務上の「譲渡費用」に該当するわけではありません。税金の計算は別途確認が必要です。国税庁:譲渡費用となるもの

売却時に自己資金が必要な場合もある

次の例を考えてみましょう。

  • 売却価格:1,800万円

  • ローン残債:1,850万円

  • 売却に伴う費用:80万円

この場合、税金やその他の精算を考慮する前でも、130万円の不足が生じます。

※説明用の仮定であり、特定の物件の査定や費用見積もりではありません。

売却代金などでローンを完済できない場合は、不足分をどう用意するか、金融機関が抵当権の抹消に応じられるかなどの確認が必要です。自己判断で売却契約を進めず、先に借入先と相談しましょう。

「購入して5年経ったら税率が変わる」とは限らない

個人が土地や建物を売った場合、長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分は、売却した年の1月1日時点の所有期間で判定します。

所有期間が5年を超える場合は長期、5年以下の場合は短期です。購入からちょうど5年経った日を境に変わるわけではありません。国税庁:長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分

税負担が変わるまで待つことを検討する場合も、その間の持ち出しや修繕、売却価格が変わる可能性を含めて比較しましょう。

購入価格より安く売っても、課税される場合がある

税務上の譲渡所得は、売却金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

建物の取得費は、購入代金などから減価償却費相当額を差し引くため、購入価格より安く売った場合でも、税務上の利益が生じることがあります。国税庁:取得費となるもの

ローンを返すとお金が残らないことと、税務上の利益が出ないことは別です。 売却後に納税資金が不足しないよう、税理士などに試算を確認しましょう。

3.「今売る」と「保有を続ける」を比較する

「今売ると自己資金が必要だから、もう少し待とう」と考える場合は、待つ間の負担も含めて比べます。

比較するときは、例えば3年後など、共通の時点を決めてください。

今売る場合

現在の売却価格から、現在のローン残債・売却費用・税金を差し引きます。

3年間保有してから売る場合

3年間の家賃収入から返済や費用を差し引いた金額に、3年後の売却手残りを加えます。将来の手残りは、その時点の売却価格・残債・費用・税金で計算します。

将来の価格や家賃は確定していないため、「現状に近い場合」と「条件が悪化した場合」の両方を試算しましょう。

例えば、年間30万円の持ち出しが3年間続けば、その間の負担は90万円です。しかし、それだけで「今売る方がよい」とは決められません。ローン残債の減少や、売却価格の変化も合わせて見る必要があります。

毎月の持ち出しだけでも、ローン残高の減り方だけでも判断しないことが大切です。

査定額は、根拠と条件まで確認する

売却の検討を始めたら、複数の会社に査定を依頼し、価格の根拠を比べる方法があります。

金額の高さだけでなく、次の点も確認してください。

  • 周辺の成約事例など、査定の根拠は何か

  • どの程度の販売期間を想定しているか

  • 入居状況や契約条件をどう評価しているか

  • 値下げが必要になる可能性をどう見ているか

  • 仲介で売る場合か、業者が直接買い取る場合か

査定額は、その価格で売れることを保証するものではありません。また、仲介と買取では、価格や条件が異なる場合があります。

サブリース付きの物件は、契約を引き継ぐ前提なのか、終了を前提としているのかも確認しましょう。

4.資料を揃えて、自分に合う選択を考える

保有と売却を比較するために、次の資料があると整理しやすくなります。

  • 購入時の売買契約書・重要事項説明書

  • 購入時の諸費用が分かる資料

  • ローン返済予定表・現在の残高

  • 家賃の入金明細・年間の収支報告書

  • 管理費・修繕積立金の明細

  • 固定資産税や保険料の資料

  • 賃貸借契約書・サブリース契約書

  • 修繕予定や積立金の増額に関する通知

  • 過去の確定申告書・減価償却の明細

資料を集める段階で、売却を決める必要はありません。まずは、現在の負担と選択肢を知るための準備と考えてください。

購入時の価格だけにとらわれない

「購入時より安く売るのはもったいない」と感じるのは自然なことです。

ただし、今後の判断では、これまで支払った金額だけでなく、これから保有を続けることで発生する収入・費用・リスクを比較することが大切です。

購入から売却までの全体収支は、投資を振り返るために整理します。そのうえで、今後の行動は「今売る場合」と「保有を続ける場合」の見通しをもとに考えましょう。

ご自身の生活と数字の両方に合った選択を

売却を急ぐことでも、我慢して持ち続けることでもなく、ご自身が無理なく納得できる選択をすることが目標です。

当サイトでは、現在の収支や契約内容を整理し、保有・改善・売却を比較するためのご相談を受け付けています。売るかどうかを決める前の段階でも、気になっていることをお聞かせください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。売却の適否や税額は、物件・契約・借入条件などによって異なります。税務は税理士、契約上の紛争は弁護士など、必要に応じて専門家にご確認ください。